Nスペ「瀬戸際の大国イランの戦略」感想追記
昨日の記事http://nozomi-uduki.hatenablog.com/entry/N%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AE%E8%A6%9A%E9%86%92に書いたNスペのイラン関連番組について、こちらのブログで「イラン政府の主張を垂れ流しただけ」との批判がでている。
http://touji-shabeyalda.blogspot.jp/2013/02/blog-post_24.html
トルコやグルジアでは、通訳がいた可能性があると思うが・・・気になるのは、トルコで最近ときどきシーア派のデモが起きていること。
デモ隊は、トルコのNATOからの脱退を求めたとのこと。なぜか多数派のスンニー派ではなくシーア派。規模は数百人とごく少数。(トルコのシーア派とはアレヴィ派のことなのか。中部から東部にかけて分散する一派で、シリアのアラウィとの関連は不明)
そしてグルジアでは昨年2月にイスラエルを狙った爆弾未遂事件が起きている。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTJE81C00P20120213
レバノンのシーア派ヒズボラの手によるものとされているが、グルジアは対露紛争でイスラエルからの武器を大量に購入しており、親米政策を長く貫いている。南にはシーア派が大多数を占めるアゼルバイジャン。アゼルバイジャンからはグルジアを通りトルコに向けたBTCパイプラインがしかれている。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2#.E3.83.90.E3.83.A9.E9.9D.A9.E5.91.BD.E4.BB.A5.E5.BE.8C」そしてそのアゼルバイジャンにはトルコが着々と勢力を伸ばしている最中である。http://en.trend.az/news/politics/1690445.html
その、グルジアとトルコへの訪問。
現在のイラン聖職者の動きが上記にどう連動するかは不明だが、やはり純粋に宗教的な動きには見えない。政治的に小さな足がかりを各地に点々と作っているように見える。
エジプトに関しては、現在は経済危機の真っ只中なので、まずはアメリカとの関係改善、投資誘致が最大課題なので、今アメリカと敵対するイランと「イスラームの覚醒」を共闘するという大きな動きをすることは、国民感情以前に可能性が低いかと思う。
ハメネイ師とも会談せずにイランを発ったそうなので、劇的な関係改善や協議がなされたわけではなさそうだ。エジプトとしては今後のイラン国内におけるエジプト人の人権保護や、今後中東で起きる紛争でイランと交渉するためのパイプをつなげておきたいという程度の「関係改善」ということか。
イランはトルコとも天然ガス貿易でつながっている間柄なので敵対とも言えず、かといってアメリカ、そしてシリア関連ではそれなりの緊張関係にもある。
このスンニの大国二つとにこやかに語らい、時には牽制し、という動きをしているのが現在のイラン、というように見える。
イランはエジプトで現在起きている反政府デモを批判し、同胞団の革命継続を支持する論評を載せている。
http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/35104-エジプトの緊張再発
イランとの連携への誘いだろうか。アフマディネジャド大統領は、エジプトに融資を申し出たという。アズハル大学のタイエブ師には非常に冷たい対応を受けたようだがエジプトとの連携はまだ諦めていないらしい。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE91506620130206
http://www.emeye.jp/disp%2FEGY%2F2013%2F0206%2Fstockname_0206_011%2F0%2F1/
モルシも、アメリカへの牽制の道具としてイランカードを利用しているような。NHKが流したようなスンニとシーアの共闘による反米戦線、「イスラームの覚醒」はやはり当分起きそうに見えないし、宗教的動機というより、イランはやはりパワーゲームによって動いているように思える。
バハレーンが湾岸の都合で黙殺されているのは事実、そしてイランが勢力伸張のため暗躍しているのも事実、また経済制裁で末端の人々が苦しんでいるのも事実。
いろいろな事実を前にどういうストーリーを描くかだけれど、少なくとも「イスラーム」を共通項にして編むのは難しいように思える。
イランの主張どおりに描いたのだとすれば、アフリカにも足を伸ばすそうなので、今後いろいろなところで火種ができそうな。あるいはそれもブラフかもしれないが。